鳩山政権の目玉施策の一つ、高校無償化のための法案が16日、衆院を通過した。しかし、その恩恵を受けられない世帯がある。フリースクールや、授業料の安い定時制や通信制高校などに子どもが通う世帯だ。税の優遇措置が縮小される影響で、税負担の方が重くなるという。(太田泉生)
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高校無償化の財源を確保するため、政府は税制改正を行い、16~18歳の子どもがいる世帯の「特定扶養控除」を縮小する。所得税は2011年1月分から、住民税は12年6月分から変更される。
文部科学省の試算では、サラリーマンの夫と専業主婦、子ども1人の3人世帯の場合、年収250万円なら2万4500円、年収2500万円なら11万2千円の増税になるという。
影響を最も受けるのが、高校に通わない16~18歳の子どもを扶養する世帯だ。全国で年間6万6千人(08年度)が高校を中退するなか、税負担ばかりが増える世帯は多い。
長女(17)が高校を中退したという堺市の主婦(53)は「同じ子どもなのに不公平だ」と憤った。長女はいま、フリースクールに通っているが、月約1万5千円の会費は高校無償化の対象外だ。
夫はけがで療養中で、自分のパート収入で家計を支えている。「税金が増えるだけなんておかしい。増税の対象から外してほしい」という。
公立の定時制、通信制、特別支援学校高等部に通っている全国約25万人の世帯の多くも負担増になりそうだ。もともと授業料が安いか、授業料が必要ないからだ。
大阪府立では定時制の授業料は年3万2400円、通信制は3300円、特別支援学校高等部は無償だ。文科省がモデルとする年収600万円の3人世帯だと、定時制なら4600円、通信制なら3万3700円、特別支援学校では3万7千円、税負担の方が大きくなる。
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定時制や通信制が様々な事情で家計が苦しい生徒、不登校の子どもらの受け皿になっている現状などから、大阪府立定時制高校の元教諭山田潤さん(62)は「あまりに配慮に欠けた制度」と批判した。
川端達夫文科相は10日の衆院文部科学委員会で、「負担増となる家計については適切な対応を検討する」と述べたが、「実際に影響が出るのは2011年末。どうするかはこれからの議論」と語った。
文科相に制度改善の要望書を送った、不登校や引きこもりの若者が集まる松江市のNPO法人「YCスタジオ」の木村悦子理事長は「高校外で学ぶ若者はいる。子ども手当と同じように、すべての若者に支給するべきではないか」と話している。
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広田照幸・日本大学文理学部教授(教育社会学)の話 高校無償化は、将来の日本を担う若者を育てる家庭の負担を減らし、その成長を社会全体で支えようという考えから出てきた政策。定時制などの生徒や高校中退者、中卒で働く若者など無償化の恩恵が十分受けられない層には、個別の支援策を検討すべきだ。
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